第3章

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図書室の窓から見ていた 春夏秋冬一日も休むことなく、ボールを追い続ける圭介の姿を 「は!? サッカーのルール知らねぇって、恋人、サッカー部だったんだろう」 ぼくの前に座った響先生が、不思議そうな顔で聞いてくる 好きな人の趣味を共有したい そう考える人は多いのかもしれないけど、ぼくは違う 「見てたのは、圭介だけだったから」 ボールを追う圭介だけを見続けた 目を伏せた顔 鋭い視線が格好いい あ、笑った 腰に手を当てて、休んでる ただひたすら、ボールを蹴って走り回る彼の姿だけを追いかけたぼくには ルールなど分からない 「分かる! そうよね。好きな人を見てしまうわよね!」 目を輝かせた正統派美少女に、囲まれてしまった 「お前らは、マネージャーだろう。キチッと仕事しろ」 全くその通りだと思ったので、うんうん、頷いた なによー、キミだって見てたんでしょう? 口々に訴えてくる彼女たちの迫力に、及び腰になりながらも 「見てましたよ。好きな人の迷惑にならない場所から」 好きだと自覚してなかった頃から、ずっと 圭介の邪魔をしないように 窓から見ていた 「・・・・・・迷惑にならないように、か」 「何か反省。恋する乙女に教えられた気分だわ」 おお? 困ったちゃんの先輩マネージャーたちが、反省会を始めたぞ 何か知らないけど、良かった 「一度会ってみてぇな。ハッとする表情を、マコにさせる男に」 「うん。凄く綺麗な顔してた。彼のこと話す真琴ちゃん」 そ、そうかな? 自分では分からない顔を誉められて、照れてしまう 圭介の前でも、出来てるといいな 綺麗な表情・・・・・・
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