第1章

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気がついたら。目の前には知らない男がいた。 その男は変なものを見るような目で 私をジロジロと見たあとに。 「あんた何してんの?」 そう言った。 まぁ当然の言葉だと思う。 女が道の端で倒れていたらビックリするだろう。 道の端と言ったら少し違うか。 正確にはアパートの敷地に入る入口の辺りだ。 さぞかし通行の邪魔だろう。 だとするとこの男はアパートの住人か。 ゆっくり起き上がる。 ああ、白い上着が土まみれだな。 はらってみたけど無駄みたい。洗うしかない。 そして目の前の男を見る。 男は今「何してんの?」と言った。 でも私はその質問には答えられない。 「私にもわかりません。私はここでなにしてるんでしょうか。」 「…はい?」 だって仕方ないじゃないか。 本当にわからないんだから。 大体私はさっきまで自分の家のリビングで ソファーに寝そべりながらテレビを見ていたんだ。 両親は仕事であと一時間は帰らない。 だから制服のままでゴロゴロしていたら 普段は怒られるが、いないのをいい事に ソファーにそのまま転がっていたのだ。 そのまま多分眠ってしまったんだと思う。 そして気がついたらここにいた。 だから本当に私は今ここで 何をしていたかなんてわからないんだ。
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