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「人間だ。人間がいる」
「どうしようか?」
「煮ようか?それとも焼こうか?」
幼い男の子が相談している声がする。
少女はその声にゆり起こされ、重たいまぶたを持ち上げた。
そこには手のひらサイズの子どもがいた。
「はあっ!?」
少女が飛び起きると、小人たちはくしゃみで飛んだつばみたいに散らされた。
「小さっ!キモっ!」
少女が毒づくと小人は小さな体を、ゆすられたゼリーみたいにプルプルとふるわせた。
「いきなり悪口だよ」
「人間こわい」
「『まんじゅうこわい』みたいなニュアンスで?」
小人は6人いた。
赤色、黄色、茶色、ピンク、オレンジ、ベージュ。それぞれ、どこかで見たようなサイケデリック極まる色の服を着ている。
「あなたたちは何?」
少女がきくと小人はつばを吐いた。
「小さいやつ」
「キモいやつ」
「人間さんがさっき言った通りですが何か?」
いじけてる。
「いや、それは悪かったけど」
おどろいたものだからさ。そう言って少女はもう一度同じことを問うた。
彼らは答えた。
「僕たちは『マカロン』です」
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