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「いいか、しっかり見とけよオルテシア」
「うむ、しっかり見ているとも。さぁ、修行の成果を見せてくれ」
オルテシアの言葉にオレは頷くと、少し離れた場所にある一本の木に向かって銀糸を構えた。
一つ深呼吸をすると、指先に神経を集中させる。目標の木をしっかりと見据えると、腕を振って銀糸を放った。
一直線に飛んだ銀糸は、木の直前で軌道が変わる。
蛇が棒に巻きつくように、銀糸は木に絡みついた。
「おお、やるではないか! 私ですら簡単には扱えなかった銀糸をもうここまで使いこなしてしまったのか!」
「といっても、こんな芸当ができるのは感覚が掴み易い右手の人差し指に対応する一本だけだけどな。他はまだダメダメだ」
一本だけ操るのもこんなに苦労したのでは、他の糸も同時に操ることは先のまた先だ。
とはいえ褒められて悪い気はしない。実際、我ながらよく四日でここまで扱えるようになったものだと思う。
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