王への謁見──[(五分前)]

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《はい、分かりました。では失礼致します》 神様との話が終わり念話を切るとどっと疲れが押し寄せてきた 別にこれは神様と話すのが精神的に疲れたとかではなく 物理的に魔力的に疲れただけである まあ、前回を思えば…全力疾走したあとと、部屋の中を走り回ったぐらいの差はあるけど、今が抱き枕(ミリア)を抱えてベッドに横になっている状態で しかも夜中である事を考えると押し寄せてくる睡魔が半端ない 早々に私はクーリカにバトンをタッチして意識を暗転させた ─────────────── 私が戻るとそんなに時間は経っていなかった まだミリアも辛うじて起きている(夢現をさ迷っている) そして、何時もはいるもう1人の私がいない事も感じられた まさに千載一遇のチャンス 私は少しずつ同化する意識の中にもう1人の私がもつ知識があることを知っていた その中には"あの不思議な力(祝福)"を使う為の言語も含まれている ただ、私が目をつけたのはもっと有用な"数々の"世界の知識だった 特に"精霊""妖精"などは興味深く、検索で調べた結果この世界にも"精霊"の元となる意識体が存在する事は既に分かっている それが今神と名乗っている者達の元である事も そして、その意識体に少し細工をするだけで"精霊"となり隷属させる事ができる事も 「ふふっ」 きっと今の私は歪んだ笑みを浮かべてるんだと思う 今から私がしようとしている事はたぶん人の道から外れた最低な行為で、普通な人なら絶対にしないような事 でも、幸か不幸か私にはあまり関係ない だって、私はもう遠の昔にそんな"普通"を奪われているんだから… 私に躊躇いの気持ちは一切なかった 「【精霊召喚】【精霊隷属】」 初めて使う言語の割に、知識があるお陰かこの"日本語"という言語は使い易かった 何より"祝福"の力が凄い 魔法名と変わらない短な言葉の羅列でちゃんと思い通りの効果を発している
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