自意識過剰(一)

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***  「で? 何買ったんだよ」 それは、 車を発進させてから直ぐの言葉だった。 海斗君の目が、 一瞬だけあたしの持っている買い物袋に向いた。 「えっと。パンと――」 言いながら袋を探る。 「はい、これは海斗君の」 取り出した微糖の缶コーヒーを差し出すと、 海斗君はそれをチラリと見てこう言った。 「俺、ブラックしか飲まねぇんだけど」 「……」 ありがとう、 と言われるのを準備していたから、 どう反応していいのか分からなかった。 このコーヒーをどうすれば? 3秒硬直して、 片付けるしかないことに気付いた。 「あ……、知らなかったから。 じゃあ要らないよね……」
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