夜風にくゆる紫煙のように

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異性の幽霊に出会えたらいいな、って思うの。 紺青(こんじょう)の闇の中、二人は出会うの。 まるでプロジェクターでスモークに映したような儚(はかな)いあなたに、私はおもむろに手を差し出す。 「連れてって」 あなたは驚いたのか、あるいは呆れたのか、小さく口を開けた。 それでも、あなたは私を受け入れてくれた。私の手を取ってくれた。そのことがとても嬉しくて、私は胸が一杯になる。 あなたの手は雪のように冷んやりとしていた。 そっとあなたの表情を窺(うかが)うと、その瞳には寂しさが滲(にじ)んでいる。「ああ、この人も私と同じなんだ。」そう思った。 だから、私は繋(つな)いだ手に少し力を込める。どうかこの体温があなたの凍えた指先に伝わりますように。そんな願いを込めて。 「これからはずっと一緒だからね」 そう言って笑いかけると、あなたは屈託(くったく)のない笑顔を見せてくれた。 そうして二人は、夜風にくゆる紫煙(しえん)のように闇に溶けて消えた。 【終】
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