8㌔の勇気

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だけど何故か、目の前の、校庭の真ん中には。 嵐の手をしっかりと握った加賀谷先輩がいた。 彼女の手には、D組のオレンジ色のハチマキがあって、嵐の額には何も巻かれていなかった。 「オッケーですか?」 2人の前にいた、マイクを持った人がそう言うと、再び「オッケー!!」とか「キャアー!」という悲鳴めいた大歓声が校庭中に響き渡った。 加賀谷先輩は、嬉しそうに飛び跳ねたかと思うと。 嵐の体に抱き付いた。 大きいけど、小さな体。可愛い顔。 あたしには、なれない、嵐の理想の女性像。 ゆめ子は体育祭のジンクスを教えてくれた。 〝体育祭で男子からハチマキを渡されて告白されると、2人は幸せになれるんだって〟 それは、今まさに、出くわした光景。 嵐が先輩に告白して成功したということかな。 うん。 だって、嵐が照れ笑いして嬉しそうだもん。 そういうことだ。
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