第3話『rainy blue』

14/18
4788人が本棚に入れています
本棚に追加
/76ページ
立ち止まった場所は、ちょうど真白さんの家の前のようだった。 表札に『九石』とかかっているし、こんな変わった名字は他にないだろう。 「………ホントだ」 呆然としたように真白さんが呟く。 直後俺に向かって、ガバッと深く頭を下げた。 「ご、ごめんね、忍くん。せっかく送ってくれたのに……」 傘をパチンと閉じながら、俺は不思議に思って真白さんを見下ろす。 …………なんで、真白さんが謝るんだろう? 「晴れたのは別に真白さんのせいじゃないだろ」 「…………でも」 「あんま謝られるとかえって気使うから」 実際、駅にいた時はスゴい雨だった訳だし。 それに……久々に顔が見られて。 二人きりで話が出来て、やっぱり嬉しかったし。 ホントに謝る必要なんてないと思っていたんだけど、真白さんは物凄く申し訳なさそうに眉を下げていた。 そして直後、おそるおそる顔を上げながら信じられないことを口にした。  
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!