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立ち止まった場所は、ちょうど真白さんの家の前のようだった。
表札に『九石』とかかっているし、こんな変わった名字は他にないだろう。
「………ホントだ」
呆然としたように真白さんが呟く。
直後俺に向かって、ガバッと深く頭を下げた。
「ご、ごめんね、忍くん。せっかく送ってくれたのに……」
傘をパチンと閉じながら、俺は不思議に思って真白さんを見下ろす。
…………なんで、真白さんが謝るんだろう?
「晴れたのは別に真白さんのせいじゃないだろ」
「…………でも」
「あんま謝られるとかえって気使うから」
実際、駅にいた時はスゴい雨だった訳だし。
それに……久々に顔が見られて。
二人きりで話が出来て、やっぱり嬉しかったし。
ホントに謝る必要なんてないと思っていたんだけど、真白さんは物凄く申し訳なさそうに眉を下げていた。
そして直後、おそるおそる顔を上げながら信じられないことを口にした。
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