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その答えに、俺は激しい頭痛を覚える。
同時に、兄貴があれほど嫉妬して心配する理由がわかった気がして、何となく兄貴に同情した。
こりゃあ……心配だよなぁ。
こんなに無邪気に悪気なく、男を家に上げようとするんだから。
もちろん俺が兄貴の弟で、それこそ真白さんの中では『安全圏』なんだろうけど。
でもそれって、これっぽっちも男扱いされてないってことの裏返しで。
何だか彼女の無防備さと相まって、俺は無性に腹が立ってきてしまった。
「二人とも仕事でしばらく帰ってこないから。……だから気を使わないで……」
「────いや。じゃあ、やめとく」
彼女の言葉を遮るように、俺は食いぎみに言葉を発した。
ぴしゃっと撥ね付けたからか、真白さんは面食らったように目を丸くする。
──── ありがとう、真白さん。
お詫びのつもりだとしても、声をかけてくれたのは嬉しかった。
でもさ。
俺だって一応、男なんだよ。
今この状況で、二人きりになんかなったりしたら。
俺、自分の気持ち抑えられるかどうか、自信がないんだ……。
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