tre-2

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「……………!」 ドキッ…と、大きく胸が弾んだ。 鼓動が少し、速くなる。 ギャップって───ズルい。 普段は無表情だから、たまにこんな優しい声で優しい笑顔を見せられると。 不覚にも、ドキドキしてしまう……。 「あ、わかった」 沸き上がってくる不思議な感情に一人戸惑う私の前で、忍くんは携帯を見て、声をあげた。 液晶画面をこちらに向けてくる。 「これ、俺のアドレスと番号」 数字とアルファベットの羅列が目に飛び込んできて、私は慌ててスマホを持ち上げた。 アドレスを登録する指が何故か震えていて、私は唇を噛み締めながら指に力を込めた。 「……メール送ったけど……届いた?」 登録したあと、空メールを忍くんのアドレスに送信する。 10秒ほど経ったところで、忍くんの手の中の携帯がブーッと振動し始めた。 「あ、来た」 忍くんは何故か、少しの間じっと携帯の画面に見入っていた。 何も文章を送っていないのにどうしたんだろう、と思っていると。 しばらくして忍くんはパチンと携帯を閉じ、こちらを向いて小さく微笑んだ。 「後で、登録しとく」 そう言うと、彼はポケットに携帯を戻した。  
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