第1章

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【双眼】 「お前、まだ出てこないのかよ」 「そりゃ、お前。まだ入って10秒だぞ」 「いいや二十秒はもう経ってる。このやりとりをしてるからな」 「おいおい、そんなこと言わないでくれよ」 「俺だって待ってんだよ」 「慌てさせんな」 「俺のバッテリーが切れそうなんだよ」 「切れたらアレも止まるんじゃね?」 「おいおい、冗談はよせよ。アレを止めるなんてできない。 お前は王様の気分か」 「確かに座っているが王様の気分なんて決して味わえないね、 どちらかというと鞭を打たれている奴隷の顔だ」 「俺は、断頭台の階段を登っている気分だ」 「それは、決意が出来ていて素晴らしいな、ぐぅ」 「素晴らしい? 早くしろってんだ、あああああ」 「うるせぇ、いま一番いいとこなんだよ」 「こっちは、お前よりも発射されるのが早かったんだぞ!!」 「発射ってなんだ? ロケットか? 打ち上げ花火か?」 「くそっ、お前は鬼か、悪魔か」 「うるせーな、久々の対面なんだよこっちは! お前は、しょっちゅう会ってくれてるじゃねえか」 「ああ、付きまとわれてるよ。王様の椅子が俺を欲しがってんだよ 俺に譲れよ!」 「まるで麻薬中毒者の発言だな。ふぅ、いい気分だぜ」 「あああああ、よこせ! 早くしろ!」 「やだね……」 「あああああああくそぉおおおおおお」 「ひでえな、まるで毒ガスを食らったかのようなうめき声だ」 「ぁっぁっ……あああ」 ……終わったな。開けてみるか。 「うわぁ、醜態だな」 そいつは、白目をひん剥いて身体をピクピクとさせてやがる。 実に滑稽なやつだ。 「お前が悪いんだからな」 そう吐き捨てて、俺は白い空間から出た。
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