tredici

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「ほ、本田さん!」 「んー?」 「あの…っ、ありがとうございました!」 ペコリと頭を下げると、本田さんは踵を返しかけていた足を止め、くるりとこちらに向き直った。 自身を指差し、ニッと笑う。 「俺、いい人でしょ?」 「…………!」 「ま、吉報お待ちしてますよ~」 最後はいかにも本田さんらしい、チャラい感じで締めくくったけど。 もう私は、それを厭わしくは思わなかった。 早足で歩いていく本田さんの背中に、心の中で何度も何度もお礼を言う。 忍くんにとって、私は疫病神なんだって思い込んでいたけど。 もし、そうじゃないって、彼が言ってくれるなら。 傍にいてほしいって、彼が望んでくれるなら。 私は彼の、傍にいたい。 どんなことがあっても、それを一緒に乗り越えていきたい。 何より、私にとって必要な人だから。 大事な、大事な、人だから。 もしまだ、少しでも可能性が残っているなら。 今の私の本当の気持ちを、全部、全部、彼に伝えたい。 ──── 余計な考えも、しがらみも全部捨てて。 あなたに、会いに行きたい。  
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