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「結果的に、クリスマスのドルチェだって、私のせいでメニュー変更になってしまって……」
「……………」
「私がことごとく、忍くんの人生を狂わせてしまってる気がして……」
握りしめた拳に、零れた涙がポタポタと落ちて弾けた。
慌ててハンカチで目元を押さえると。
横で本田さんが、ふうっと大きな溜め息をついた。
「それは……違うよ、真白ちゃん」
ハンカチで口を押さえ、私はゆっくりと本田さんの顔を見上げる。
目が合うと、本田さんは小さく苦笑した。
「真白ちゃんに再会してなかったら、忍のドルチェはコンペで選ばれてすらなかったはずだよ」
目を見張る私に、本田さんは大きく頷いて見せた。
「真白ちゃんに恋をして、それで忍のドルチェに魂入った訳だから」
「……………」
「真白ちゃんが、忍のドルチェに息を吹き込んだんだよ」
本田さんの言葉に、私は大きな衝撃を覚える。
そんな風に今まで考えたことが無くて。
すぐには信じられず、私はぼんやりと本田さんの顔を見返した。
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