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「それだけじゃないよ。真白ちゃんと再会してから、アイツは目に見えて生き生きしてた。……元々マジメな奴だったけど、ホントに楽しそうに仕事するようになってた」
「……………」
「──── 別れたらぶっ倒れてしまうぐらい、真白ちゃんは忍にとって大きな存在なんだよ」
見開いた目から、再び涙がポロポロと転がり落ちる。
拭ってもまた溢れてくるのがわかっていたから、もう私はそれを拭わなかった。
「確かにビアンカでメニュー採用されるって料理人からしたらすげーステータスだけどさ。……忍にとっての一番は、それじゃねーんじゃねーかなぁ……」
「……………」
「ま、それは俺の憶測だからこれ以上は何にも言えないけどね」
スマホを見ながら、本田さんは『やべ、行かなきゃ』と呟いた。
おもむろに立ち上がり、笑顔で私を見下ろす。
「とにかく一回忍の気持ち、聞いてみなよ。 話はそっからでも遅くないと思うよ」
「……………」
「あ、忍の病院、すぐそこの第二病院ね。506号室だから」
明るく言うと、本田さんはじゃあねーと手を振ってさっさとこの場を立ち去ろうとした。
私は慌てて立ち上がり、その背中に声をかける。
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