話乃壱『グラビアアイドル』

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ドル鮮烈デビュー!!』作戦は、望外の大成功を治め、撮影や出演のオファーが相次いだヱミカは、寝る暇も惜しんで働き続けた。  人気はうなぎ登りで、滑り出しは好調そのものと言えた。  だが、半年を過ぎたあたりから、少しずつ仕事が減り始め、日中でも事務所で過ごすことが多くなっていった。  グラドルとしての可愛らしさにも、天性の人なつっこさにも、ますます磨きはかかっていたが、この世界で生き残るアイドルたちが持つ飛び抜けた何か、が足りていない、ヱミカのお付きのマネージャーは、そう感じていた。  ヱミカの場合、それは見る者すべてを虜にしてしまう最高の笑顔、であるはずだった。  だが、デビューグラビアの撮影よりこっち、ヱミカはそんな極上の笑顔を、一度たりとも見せていなかった。 『ヱミカちゃんっていえばさ、あのときのグラビアの笑顔が一番よかったよね』  業界内に、そんな囁きが聞かれるようになった頃、ヱミカの事務所のマネージャーは、再び、笹山奇人の力を借りようと思いついた。  今やカリスマ的な存在となった笹山奇人のスケジュールを押さえるには法外なギャラが必要だ。  だが、ヱミカがあの笑顔を
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