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取り戻しさえすれば、そんなものは、すぐに回収 できる。
マネージャーには、十分な勝算があった。
あの娘 にはまだまだ力がある、そう、確信していた。
2年目の半ばを過ぎる頃、ようやく、笹山奇人のアポがとれた。
しかも、どうしたわけか、契約金額は破格の安値。
『いやいやいや、いいんですよ、僕としても、ちょうどまだ、とり足りないてないものがある気がしていたところですし』
ようやく、ヱミカのグラビア撮影が始まった。
ここが再出発へのターニングポイントになるのだ。
だが、撮影の様子を見守っていたマネージャーは、妙なことに気がついた。
ヱミカがいつもの笑顔を見せていない。
悲しげな表情、困ったような表情、たまに笑顔を浮かべても、それは憂えるような寂しげな笑顔。
だが、それはヱミカのせいではなかった。
「うんうん、いいねー、その表情!!」
パシャリ
「次は、散っていく落ち葉を見ているような感じで」
パシャリ
「そう、その寂しげな微笑み、女優顔負けだねー」
パシャリ
奇人のリードが、明らかにそっち寄りなのだ。
「あ、あのー、笹山さん、差し出がましいようですが、うちとしては、ヱミカの明るい笑
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