1241人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
「おい、黙ってないで何とか言えよ」
しばらくして、ぽつりと主任は呟いた。
しかし、私は何も言えずただ呆然と俯いて自分のつま先を見つめていた。
「おい！……えっ？」
俯いたまま黙り込む私に痺れを切らしたのか、主任が私の頬を両手で包み、強引に上を向かせると主任から驚きの声が漏れた。
「何で…泣いてんだよ…」
主任に言われて初めて気付いた。
私…泣いてるんだ…。
泣いてることも自分で気づけない程、私は主任の言葉がショックだったらしい。
「すみません…」
絞り出した声は掠れていて、喉の奥が熱かった。
瞬きを一回すると、大粒の涙が頬を伝っていく感覚が分かった。
最初のコメントを投稿しよう！