第1章

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畳に寝転んでいるのは、もう起き上がる力がないからだ。 いや、それだけじゃない。 桜子には、起きようと言う意思も気力も、もう残っていなかった。 ゆっくりと瞼を閉じると、また一滴涙が溢れた。 桜子の前の背の低い箪笥の上には、白い房を付けた菊の模様の包みが置いてある。 その側で、とうに燃え付きた線香が線香立てのなかに積もっていた。 線香に火をつけるマッチも、線香も、とうに尽きていた。
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