離れるまでの時間に

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【2:教室】 「支倉っ! また来てるっ」 ちょっとテンパった野中に呼ばれて、へっ?てなって。 すぐにピンときて、オレは教室の入り口を見た。 メガネが何様のつもりか、胸の前で腕を組み、堂々と立っている。 「……」 チラリと窓際の席を見ると、イタルはやっぱり寝ていた。 「最近よく来るよな… おまえ加賀先輩と友達なの?」 野中にこそりと聞かれて、「…んなわけねえだろ」とため息を吐いて席を立った。 クラス中のみんながオレを見ている。 なんかコソコソヒソヒソ堂島にビビってる。 (…てか、トモダチじゃねえし) 噂に疎いオレは、最近、やっとメガネのこの学校での地位を把握してきたところだった。 オレが堂島の前に立つと、ヤツが開口一番のたまった。 「ジャージを出せ」 「…はあ?」 面食らうオレ。 「返したじゃん」 「おまえのだ、貸せ」 「はあ?」 オレより20センチくらいデカいメガネが、オレを見下ろしている。 .
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