№24 夏が来る

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部活おわり。 誰もいない校舎の裏で彼とキスした。 「日が暮れるのが遅くなったね」 もう七時を回っているというのに、あたりはまだ十分明るい。 「もう梅雨が明けたら、夏だもんな」 笑う彼の口元から白い歯が覗いた。 夏が来れば、もうこんな風に話していられなくなる。 「部活ももうすぐ、引退だね」 「受験だもんなー」 苦笑いの彼につられて笑った。 彼が、夢のために遠くの大学を狙っていることは知っている。 部活を引退すれば、勉強一本に集中するつもりだってことも。 「……夏なんて永遠にこなくていい」 「どうした?」 「ずっと、このままだったらいいのに」 「……ごめんな」 泣き出してしまった私のあたまを彼の手が撫でる。 この優しい手が傍にいてくれる間だけでも笑顔でいたくて、涙を拭いて無理に笑った。
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