Close friend

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 恐怖に震えながら、俺はゆっくりと振り向いた。  そこに、男が立っていた。  返り血を浴びて真っ赤に染まった顔が、不気味に笑っていた。  男は血のついたサバイバルナイフを弄ぶように、くるくると回している。 「鍵沼の野郎、アンタの言うことを信じて俺を刺そうとしやがった。しょうがないから俺があいつを刺しちまったぜ」 「じ、じゃあ……、あの写真に写っているのは」 「鍵沼だよ」  男はサバイバルナイフを振りあげて、楽しそうに言った。 「幻影に殺されるのも、悪くないだろ?」  そう言ったあと、男は俺の胸にナイフを突き刺した。  鋭い痛みが、体を襲う。  男がナイフを引き抜くと、噴水のような勢いで血が噴き出した。  そのまま、俺は床に倒れ込む。 「あ……が……」  体が痙攣して、声も出ない。  床に広がっていく赤い血が、ぼんやりと見えた。  そして薄れていく意識の中で、男の最後の言葉が聞こえた。 「あーあ、また友達がいなさそうな奴を探さなきゃなあ」 『Close friend』――了
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