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体全体がガクガク震えるのを感じながら、スマホを握り締めた。
何の操作も加えないせいで、呪いの文面を示す画面がそのまま省エネモードに薄暗くなる。
「美幸がここに来るんだって」
ベッドを見やると、正行は相変わらず横たわったまま目を大きく見開き、蒼白な顔をこちらに向けていた。
「あたしたち、どうなっちゃうのかな」
画面が真っ暗に切り替わったスマホを放ると、ベッドの彼に近づく。
微動だにしなくなった左胸からナイフを抜き取ると、明日花婿になるはずだった男は、恐怖に凝固した面持ちのまま、ガクリと顔を仰け反らせた。
ナイフの刃がまだ生ぬるい血を滴らせながら、蛍光灯の蒼白い光を反射してギラリと輝く。
玄関から、ガチャガチャと鍵を開ける音が響いてきた。(了)
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