第13話 臆病者

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シンタロウは、もろにくらって芝生に転がった。 ララが上から覆いかぶさり、パンチの連打を浴びせた。 彼女の攻撃には、シンタロウもなす術がない。 「ララ、もういい。帰るぞ!」 あいつは、頬の傷を気にしながら足早に車へ戻った。 あいつの悔しそうに奥歯を噛む表情が、オレの心に刻み込まれた。 いい気味だ。 あいつを追って車へたどりついたララは、助手席に乗る間際、オレたちに向かってあっかんべーをした。 大きな目の下瞼を引っ張って、耳まで裂けた口から、長い舌を伸ばす。 オレは、こんなに愛らしくて恐ろしいあっかんベーを見たことがない。 ドアを閉める彼女に「マスクをしなさい」と苛立つあいつの声。 走り去る車を見ながら、数年後のララを想像する。 もっと食べてもっと大きくなったララは、どんなに美しくておぞましいラバナスに成長するのだろうと。 こうして稲葉兄弟、四年ぶりの再会劇は終わった。 これがあいつとオレの第二ラウンド。
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