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稲葉信太郎と修治による、兄弟喧嘩パート2の顛末だ。
オレはこれで、一矢報いたとは思っていない。
現に、オレの拳は一発もあいつをとらえていない。
やったのは、シンタロウ。
精一杯ひいき目に見て、勝敗は〇・五勝一敗といったところか。
第三ラウンド?
そんなものは考えたくもない。
あいつの顔なんて、もう二度と見たくない。
万が一そんなことがあるのなら・・・シンタロウから一本背負いでも習っておこう。
オレは芝生で横たわるシンタロウを抱き起す。
絞められ、刺され、蹴られ、殴られ、もう散々。
腹からは大量に出血しているし、顔から胸、脚まで内出血の跡で紫色に腫れ上がっている。
これじゃあ、東北・甲信越チャンピオンが形無しだ。
「よく頑張ったな。オレたちも帰ろう」
トートバッグの口を広げるが、シンタロウはそれを無視して腕を伸ばし、抱き付いてきた。
おかげでオレの一張羅モンクレールダウンが、血でベトベトだ。
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