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この猫の魔物はマレオによく懐いているみたいで、2体ともマレオによっていくと、おかえりなさい、とスルスルと身体を擦り付けるように周りを回る。
可愛いな、羨ましい。
だけど俺とリュッセルは近付かなかった。
懐かれちゃうとやっぱり後々困るかもだしな。
全部終わったら触らせて貰おう、それまでの我慢だ。
そして。
中に入らないのかと思えば、急にマレオが歌いだした。
ほ?
と、ドアが静かに開く。
「この扉はマレオの魔力を乗せた歌でしか開かないのだ。でなければ壊すしか無いのだが、魔法でも物理的にでも壊そうとすれば爆発する」
ミルガの説明に、容赦無いな、と思うが、これでも勇者は少しのダメージで通り抜けるのだ、とミルガは言う。
あの勇者(愚)が?と信じられないが、普段はどんな愚者でも、それが勇者なのだとか。
げ、面倒臭いな。
そして中に入ると、いらっしゃいませ、と執事服の若い魔人が迎えてくれた。
ニコリと微笑んではいるが、かなり強そうで隙が無い。
「彼は若いですが相当な実力者ですので、勇者パーティの分断をお願いしています」
マレオの説明に嬉しそうに、ご期待に沿えるように頑張ります、と微笑んだ彼。
大きな柱が半分埋め込まれたようになっている壁を指して言う。
「まずこの玄関ホール、このままでは進めなくなっております」
うん、壁だもんな。
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