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中瀬充のことなど本当は知る筈なかったし、知りたくもなかった。 世の中には知らなくていいこともあるなんて、そんなの嘘だと思っていた。 だが、彼の存在を知った時から、それは嘘ではなくなった。 世の中には、絶対に知らない方がいいこともある。 家に帰り、鞄の中から招待状を取り出して封を開けると、中から小さなメモがひらりと舞い落ちた。 『一人だけ招待状を送らないのは変なので一応送らせて頂きました。ごめんなさい。出席してくれなくていいですから』 少し丸くて癖のある彼女の字だった。 僕はその字を指でなぞった。 そりゃ僕だって、出席できる身じゃないことぐらいは理解している。 当然、欠席に印をつけて投函するつもりだった。
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