*おまけ

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「これも書こう」 テーブルに広げた用紙は、愛羅は初めて目にするものだった。 しかし、タイトルを見れば、意味するところは明確だ。 「な、なななななんで持っているんですか?」 「役所に行く用があったときに、貰ってきておいた」 目を白黒させる愛羅は、出会った頃のように居たたまれない様子で、混乱している。 瀬乃山は、大粒のダイヤが輝く愛羅の左手をそっと包み込み、もう片方の手で愛羅の髪を撫でた。 一度は耳を出すほど短くなった黒髪は、艶やかなブラウンに染められ、鎖骨の上で緩くカールを描いている。 「俺の本気は伝わった? 何度も言ったが、冗談や上っ面だけで言ったことは一度も無い」 まだ戸惑いを見せる黒い瞳が、瀬乃山を映した。 そこに向かって、微笑む。 自分がこんなにも穏やかな顔をしていることを不思議に思うほど、胸は熱く切なく燃え滾っていたが、出てきた声は低く甘やかだった。 「君を愛している」
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