act.4

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しかし、 「俺は行かない」 高広は足を止めた。 「どの面さげて、戻れるってんだよ」 高広にとって、未来の財産となるべき頭脳を持つ人物を殺したことは、耐えがたい苦痛だった。 それこそ、手を下した自分自身を許せないほどに。 高広は、保がこれまで見たことがないほど、憔悴しきった顔をしている。 保は、 「ふーん」 面白くなさそうに呟くと、手にした小さなスイッチを押した。 とたん、足元を地響きが襲い、地面が揺れる。 「なんだあ」 驚いて見上げた高広の目の前に、ガラガラと天井が落ちてきた。 「龍一さんに習って、爆薬を仕掛けたんだ。この建物はもうじき粉々にぶっ壊れる」 「なっ!?」 保とは思えない過激な発言に高広は、 「お前、いったい何のつもりでそんな――」 つい言葉を失ってしまうのに向かって、保は言った。 「高広が行かないんなら、俺もここに残るさ」
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