act.4

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「はあ!」 「別に誰かに殺されるわけじゃない。自分で死ぬわけでもない。文句あんのか」 そう言う側から、ガラガラと瓦礫が落ちてくる。 どこかで火の手があがったらしく、きな臭い臭いが漂ってくる。 「ばっ、ばかなこと言ってねーで、さっさと逃げろ。粉々になんだろ」 あちこちから聞こえてくる爆発の音で、その火薬の量は容易に想像できた。 暗殺専門などとうそぶきながら、実は派手好きの龍一が好みそうな量だ。 「早く逃げろ!」 高広は叫ぶが、保は涼しい顔をしている。 平常の調子で、 「あ、望美さんが監禁されてたらしい場所は見つけたよ。今は誰も捕まっていなかった」 などと呑気なことを言う。 「誰もいなかったんなら、もういいだろ。早く逃げんだよ」 高広が焦った調子で言うのに、保は落ち着いたままだ。 まるで突発的に雨に降られてしまったという程度の風情。 「そう。もういいんだよ、高広」 保の立つすぐ脇に瓦礫が落ちてくる。 雨粒じゃなくて、瓦礫の礫(つぶて)だ。 あんなもの頭に食らったら、ひとたまりもない。 足元でコンクリートが砕けて、破片が飛んだ。 どこかで電気系統がショートしたのか、火花がバチバチと音をたてる。 それでも動かない保に高広は怒鳴った。 「いいから逃げろってんだ」
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