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壱
ガバッと爽は覆い被さり
先ほどのような、迷いを含んだ手つきではなく
荒々しささえ感じる手つきで貴子の寝間着をはぐ。
縮こまるように身を固くし、耐える貴子。
だけど、爽はピタッと止まって
握り込んでいた震える貴子の手を自分の手が包む。
そのまま、その細く長い、少し冷たいけど、
大きなその手で貴子の手を包んで、動かなくなった。
貴子は状況が分からず、恐る恐る、
恥ずかしさで閉じていた目を開ける。
貴子は爽と目が合って、カァッと体温が上がる。
でも、まるで、閉じないで、と言う様に
一心に自分だけを見つめる、爽の瞳。
その瞳に揺さぶられて、逸らす事も出来ず、
貴子は瞳を揺らし、見つめ返す。
それだけで、高ぶる身体に戸惑うばかりで・・・
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