サンライズ

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家庭科室まで行ってみると、既に開錠されていて、中では紗央と直也君が準備をしていた。 「ごめーん、遅くなった」 「あ、宏美ちゃん。お疲れ様」 手動式のアイススライサーを水拭きしている紗央と、シロップのフィルムを剥がしている直也君。 鞄を床に置くと、あたしも用意に取り掛かる。 部員は全員で六人。 薄い色ガラスの器を出しながら様子を伺うと、早田は紗央と一緒に、スライサーを弄っている。 「俺、本物触ったの初めてかも」 「私も今まで見るだけだったから、何だか嬉しい」 早田の後ろに見える、雲一つない青空。 同化したスカイブルーのTシャツを着た早田の顔が、クーラーもついていない家庭科室なのに、やけに涼しげに見えた。 「宏美?何ぼんやりして」 「してないし。ほら、白井も石橋も喋ってないで動く」 指摘してきた石橋に首を振り、あたしはニコリと笑う。 教室での仲間も、製菓部での集まりも大好きだ。 夏休みは部員で何かをしようか、という話も上がっており、今からワクワクしている。 高校生活初めての夏休み、最高に楽しみたい。
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