*番外編* 君と僕の距離#2*

10/11
4490人が本棚に入れています
本棚に追加
/455ページ
……ムカつく。 「羽瀬君、今の、どういう意味?」 未だ俺の膝の上にいるという自覚が全くない彼女は、邪気のない疑問を振ってくる。 この鈍感なお姫様をどうしたもんか… 悩みは尽きない。 とりあえず、理性を保つのが先決だ。 「……サト、俺、抱っこしたままでいいの?」 「ハッ!ご、ごめん!」 「ほら、慌てないで。またこけるよ」 「う、うん。ごめんなさい」 頬を赤く染めて、サトはそそくさと立ち上がった。 恥ずかしい感情が収まらないのか、サトは落ち着きなく髪を触って、耳にかけた。 耳まで真っ赤なお姫様。 そういう仕草が男心を擽るってわかってないよなぁ… さて、どうしたもんか。 心の中でぼやきながら、起き上がって、椅子に座り直した。 「謝るってことは、自分が悪いって思ってるんだよね?」 頬杖ついて上目遣いで話しかけると、サトはキョトンとした顔で俺を見下ろして答えた。
/455ページ

最初のコメントを投稿しよう!