結束のオブリガート

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  「私は構わないわ。旅は道連れって言うしね。アレクは、どう?」 「どう、と訊ねられましても、僕には判断し難いのですが……」  アレクシスの口調が無意識の内にまた堅苦しいものへと戻ってしまったのも、当然の事と言えるだろう。この少年が同行するという事は、詰まる所、彼の護衛対象が一人増える事になるのだ。  無論、先述の通り、魔物に対して心を通わせる事の出来る彼が同行する事で、魔物や獣の類いに遭遇した際の対処は簡単になるだろう。  併し、帝国への道中で危険となるものは、魔物や猛獣だけではない。  子供には到底越えられぬであろう険しい山道。旅人を狙う野盗や山賊。自らの領域(テリトリー)に侵入した者を、溢れる破壊衝動の赴くままに襲撃する、魔法に魅せられた者達。  それらの危険から幼い少年と少女を同時に護るのは、幾ら帝国軍に属する兵士と謂えども困難だろう。  
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