第1章 未踏の地にて

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僕は今、関東の夜空をボンヤリと眺めている・・・・  キラキラと煌めく星。煌めきを失った星。僕はベランダに一人、ただそれを眺めている。    九州生まれの九州育ちにとってここは見知らぬ街。  会社という名の組織に打ちのめされ、追い込まれ、僕は今、広い夜空の下、ここに一人なのである。   時折、西の方角の空に顔を向けるが、連なった山々が邪魔をして、遠くを望むことさえ出来ない。  途切れた暗い空に嫁さんの顔が見えた。煌めく星がまるで笑みの瞳のようで、僕は情けなくなって俯くことしか出来なかった・・・
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