熱中症

2/7
92人が本棚に入れています
本棚に追加
/215ページ
その年の夏、気温はいつにも増して高かった。 容赦なく照りつける日差し、熱を吸収しつつ照り返しをするアスファルト。空気 は息苦しいほどに暑さを含んでいた。 外にいる時は、どこにいようがその暑さから逃れることは出来なかった。 「今年の暑さは異常だ」 その医者はため息交じりに看護師に言った。 「そうですね。これほど多く熱中症で運ばれてくるのは初めてですね」 今日はもう午前中だけで3人も患者が暑さの打撃を受けて、救急車などで搬送さ れていた。 「午後はもっと暑くなるそうです」 看護師は点けていたテレビを消した。 「救急の患者に備えるように、他の職員にも伝えておいてくれ」 昼になるとますます暑さは上昇しているようだった。
/215ページ

最初のコメントを投稿しよう!