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その年の夏、気温はいつにも増して高かった。
容赦なく照りつける日差し、熱を吸収しつつ照り返しをするアスファルト。空気
は息苦しいほどに暑さを含んでいた。
外にいる時は、どこにいようがその暑さから逃れることは出来なかった。
「今年の暑さは異常だ」
その医者はため息交じりに看護師に言った。
「そうですね。これほど多く熱中症で運ばれてくるのは初めてですね」
今日はもう午前中だけで3人も患者が暑さの打撃を受けて、救急車などで搬送さ
れていた。
「午後はもっと暑くなるそうです」
看護師は点けていたテレビを消した。
「救急の患者に備えるように、他の職員にも伝えておいてくれ」
昼になるとますます暑さは上昇しているようだった。
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