第2話

30/30
178人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ
「じゃあハッキリいうけど、若くて可愛い子はスタッフにも沢山いるよ?でも僕は全然グッとくる人がいない」 真っすぐと正面を見つめられ、ストレートな言葉をぶつけてくるのは、若さもあるけど、何となく桐谷さんのような素直さが重なってくる。 「佐々木さんを見た時からずっと何かが違うというか、こんな気持ちでいるのに、年齢という言葉で断られたくない」 見つめてくる瞳で展示会の日の事を思い出す。 ――ルビーだ。 どう答えても今の彼を納得させる自信がなく、俯いて何も言えなくなる。 「僕に魅力は感じて貰えないんですか?」 「いえ、あると思いますが、私には眩しすぎます……」と答えるとプッと吹き出された。 「オーラとか見える人みたいな発言なんですけど」 「神崎君はルビーみたいな魅力があると思うし、私なんてただのオバサンなのに、そう言われてもピンとこなくて……」 シトリンにサファイア、ルビーはそれぞれ綺麗で素敵な宝石だけど、普通に手に入れるには高価で、観賞として眺める事しか出来ない。 いきなり何の取り柄もない一般人の前に出され、どれかに決めてと言われても困るに決まっている。 「じゃあ、もっと佐々木さんの事がもっと知りたいから、今日は話に付き合ってくれる?」と、怪しげに潤んだ瞳で見つめられた。 《第2章へ》
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!