第1話

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その日の仕事終わりは久々に友達とご飯を食べる約束をしていた。 レジ締めを終えると、入金をして店舗を足早に出た。 明日はお休みなので、今日はゆっくりと友達の近況や、美容情報について聞くのを楽しみにしていた。 私は呑めないが友達は大好きなので、店は大体『お酒が美味しい』所が選ばれる。 だたお互いに騒がしい所は苦手なので、静かなカフェ風のお店で、お酒と軽食が楽しめる所というのが最近の定番になっていた。 友達は化粧品の販売をしていて、いつも可愛く綺麗にメークもしていてお肌もとても綺麗。 その友達からのアドバイスは説得力もあって、聞いていても楽しい。 似合わない時ははっきりと言ってくれるし、自分の武器を最大限に活かし『男性とのお付き合いも上手』……なので参考にさせてもらっている。 バスに揺られコンパクトを開けると、メークのヨレがないかチェックしておく。 崩れているとすぐに指摘を受けるからで、男性とのデートよりきっちり直していると思う。 そんな自分に少し可笑しくなりながらワクワクしていたのだった。 バス停から降りてスマホの画面を見ると、友達はもう到着しているようでお知らせが入っていた。 すぐに行くと返信をして早歩きをする。 多分、先に適当な物は注文してくれている筈だ。 そういう機転の良さも友達の好きな所の一つだ。 目的のカフェに着き階段を上がると、少し薄暗い場所にキャンドルの明かりがぼんやりと灯っている。 何名か入ってて、店員さんは私を見ると「いらっしゃいませ」と柔らかい笑顔で迎えてくれた。 「あの、芹沢の連れなんですけど……」 「はい、こちらでございます」と、少し狭い階段を上ると下とは違う空間が用意されていた。
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