178人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ
第1話
私はある婦人服のお店の店員として毎日勤務している。
服について興味があるし、お客様と接する仕事が楽しいと感じているので、特に不満もなく楽しく勤めているつもりだ。
いつもと変わらない、いつもの仕事をこなしている。
毎日の日報や月末の書類が苦手なくらいだ。
あとは売り上げがいい月もあれば、悪い月もあるので、そこのストレスを解消できれば楽しい毎日……。
と言いたいが最近彼氏とは別れてしまったばかりで、他のストレス解消法はないかと思案中。
今日も開店前の掃除や準備を終え喫煙室で煙草を吸う、いつもの予定が終わった所だった。
ここはフェミリ―層等も来るスーパーやテナントが並んでいるお店なので、休憩室もきちんと設備されている。
いつも、作業後の一服をする時間が欲しいので、早めに来てすべて終わらせてからスタートを切りたかった。
基本シフト制なので、遅番の人が来るまでは1人でお店を回す為、トイレも休憩も行けない。
途中で行きたくなったら地獄なので、それを避ける為という理由もある。
私のお店の向かい側はメンズの服のお店が並んでいる。
通路越しから見える様子は何となくナルシストが多い気がしている。
朝も掃除より、自分の姿を見ている人をチラチラ目にして『はい、はい』という気持ちになる。
私の中で先入観があるのか余計にそういう場面を目撃してしまうのだ。
オープンになると、朝の開店の音楽が鳴る為、その間は自分の店の入り口に立ちお客様をお出迎えする時間。
いつものようにショップの入り口に立ちお客様に挨拶をした。
オープンしてすぐお店に入って来るお客様は、殆ど食料品に向かうので、その人達に挨拶をしてるといった感じだ。
朝の曲が終わりお辞儀をして店の中に戻る。
いつもこのタイミングでメインディスプレイを二体変え、今日はこんな服を飾ろう等のシュミレーションをする。
今日は昨日入荷があった、新しい商品があるので、絶対これを使おうと決めていた。
飾る商品を集め、変えようとした時、通路の向こう側から視線を感じた。
目が悪いのでよく見えないが、メンズ店からこちらを見ている。
お洒落な服装だが店員さんではなさそうだ。
私はさりげなく、視線を逸らし作業の続きを始めた。
立ち止まって見返すなんてお客様に失礼だし、ディスプレイを変えているのを見る人はたまにいるからだ。
最初のコメントを投稿しよう!