クラブ・キャッスル

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 親身になって接すると、ダークサイドに引き込まれる。もしくは泥沼にはまりこみ、どっぷり浸かってしまうのだ。かといって、お客様の話を聞き流していては失礼にあたるし、難しいところである。 「いいこと、お客様への興味や好奇心を失ったら黄色信号よ。お客様の言葉を拒絶して、否定したくなったら赤信号。さらに、お客様と会うことを苦痛に感じたら、潮時ね」  レイカさんの話は的を射ていると思う。問題は僕たちにあてはまるかどうかだ。 「とりあえず、俺たち三人は大丈夫のようですよ」タクマさんは笑顔で先陣を切る。 「ですね。そんなヤワな神経じゃ、この仕事は務まりません」と、僕が続く。 「お客様の暗黒面なんざ、カズ様のシャイニングハートで一掃してやるっすよ」  締めは、ムードメーカーのカズだった。よくバランスのとれた三人だと思う。 「たのもしい限りね、私の騎士(ナイト)たち」  女王(クイーン)のレイカさんが満足そうに、笑顔を輝かせる。僕たちを代わる代わる引き寄せて、ハグをしてくれた。こういうスキンシップが『キャッスル』の結束を強める。
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