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「まあ、飲めよ。カモミールティーは、気持ちを落ち着ける効果があるんだ。俺も、ときたま、世話になる。」
速水は、俺に勧めながら、自分も一口飲む。
「…確かに、高見沢の言うことには、一理あるよ。吉水先生の本のなんだから、本人がいなきゃ意味がない。正論だ。
でも、時と場合によるんじゃないか?
今日は、一緒に来たいって、彼女は、言ってたけど、締め切り間際の仕事がひとつあるんだ。そっちをやってもらわなきゃ、この先の仕事すべてに影響する。
まだ彼女は、新人の部類なんだ。書けませんなんて言って、仕事断るのは、100年早いよ。第一、一度受けた仕事が出来ないなんて、問題だ。
だから、今日は、俺一人で来たんだ。」
真っ直ぐこっち見て、そう説明されたら、もう文句は、言えないよ。
「わかった。理由も聞かないで、責めるような言い方して悪かったよ。」
「わかってくれたら、それでいいよ。さて、本題な。
これが、一応、見本。吉水先生には、ここに来る前に、見せてOKもらってある。
描いた本人がOK出してくれたら、これで、本刷りしてもらう。それで、どうだ、出来は?」
俺は、差し出された本を、手にとって、表裏をしっかりと、見ていく。
ああ、本当に、本になるんだ!
俺の描いた絵が、表紙を飾る本が店頭に並ぶんだと思うと、気持ちが昂ってくる。
「速水、これで十分だよ。」
「なら、このまま本刷りしてもらうように手配するよ。」
「よろしくお願いします。」
「そんなに、かしこまらなくてもいいよ。俺から、持ち込んだ仕事なんだから。」
速水は、苦笑いしていた。
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