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微妙に変化していく真奈ちゃんの表情。
それを眺めている俺の指先が、いつもと同じように冷たくなっていく。
今日は金曜日。
過去に囚われる日。
俺が過去に引き戻されるあの時間が刻々と近づいてくる。
そろそろ話さなければ…
そう思うけれど、
「レインさん、このカクテルも美味しいれすね。…美味しいし、楽しいし、とってもいい気分れす…」
酔っぱらって楽しそうに飲んでいる真奈ちゃんに、暗い話をするのを躊躇う俺がいる。
そんな俺にろれつの回ってない真奈ちゃんが、
「レインさん、ろうかしたんれすか?顔が暗いれすけろ、なんか悩みれもあるんれすか?」
問いかけてきた。
もう時間がない。
このタイミングで問いかけられた俺は、
「トラウマがあって金曜日だけは、一人だと眠れないんだ。だから一緒に寝てくれないか」
そう真奈ちゃんにお願いした。
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