第1章

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「そうか。山王会の方はどうだ?なぜ山王会は李王の事件を揉み消そうとするのだ?」 「それは、この前も説明しただろう。 日本の公安はホムラメディカルセンターと七竜会と山王会のつながりをマークしているんだ。 この臓器移植ビジネスの事を嗅ぎつけられたら公安に潰されるぞ。 だから、山王会から顔の利く政治家に頼んで、これ以上捜査しない様に頼んだんだ。 今の所、嗅ぎ付けているのは泉という刑事と富田という部下だけだ。だから、早く二人の刑事を始未しないといけないんだよ」 「それは、本当にそれだけの理由か?臓器ビジネスよりも、李王の消息を調べるほうが遥かに七竜会としては大事だ。違うか?」 「言いたい事はわかるが、現実問題としてこの臓器ビジネスの成功いかんで七竜会の今後の運命が左右されるんだぞ!」 「まあいいだろう。二人は今日すぐにそちらへ送る。臓器の客は適合検査が終わり次第どんどんそちらへ送る。 わたしだって臓器ビジネスは成功させたいと考えているんだ。ただ七竜会は、伝統と格式を重んずる組織だからな。 面子というものがある。早く李王の件をハッキリさせないと、 俺達七竜の承認だけでなく中国マフィア界でもお前の事を七竜会のドンだと認めるものはいないぞ。 今はまだ仮のドンだという事を忘れるなよ」「それは解っている。だからこそ私自ら日本に来たのだからな」 「分かっているならいい。ではまたな」電話が切れる。周龍は大きく溜息をつく。王龍だけが李王の件にこだわっている。 他の龍たちは何も言わない。薄々気づいていても、だ。 王龍をなんとかしなくては。周龍は自分の部屋で猿轡をした富田を眺めながら、思案に暮れていた。
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