第1章

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光の母は、凛がホステスだったという事で光が騙されていると思い込んでいた。 凛と光を別れさせようと年々凛にひどい仕打ちをする様になった。 重箱の隅をつつく様な指摘をしては、竹の棒で思いっきり凛の顔や体を殴りつけた。 雹と武が五歳の頃が最も酷く、凛の顔と体はいつも痣と傷だらけだった。 凛は孤児院でも小さい頃、院長先生から虐待を受けていた。暴力だけでなく性的虐待もあった。 二人の息子を抱きながら凛はよく武と雹に話していた。 「私はどこへ行ってもこういう運命なのよ。だからあなた達は気にしなくていいのよ」と。 雹はなんとかあの鬼ババアから母を助けたかった。そこで、雹は武と二人で相談して一つの結論に達した。 母を助ける為には、あの鬼ババアを倒すしかないと。母は優しすぎて、父に、あの鬼ババアから殴られている事を言わないのだ 。 しかも仕事が忙しいのか、新しい愛人を可愛がるのに忙しいのか、めったに家に帰ってこなかった。 帰ってきたとしても、母の顔に出来ている傷に気づきもしない。いや、気づいていても何も言わない。 だから父はあてにならないし、逆に憎むべき存在だった。鬼ババアと暮らしているもう一人の鬼ジジイも敵である。 母を苛めてばかりいる。雹と武は話し合い、計画を練った。五歳とは思えない頭脳と行動力だった。 そう。光も凛も二人の天才的頭脳に、その時は気づいていなかったのだ。 二人は一歳過ぎてから光の書斎にある百科事典を毎日一日中読んでいた。 そして五歳になる頃には全て読破し、頭の中にインプットしていた。 (自分達はまだ非力だ。確実に敵を倒すためには毒を使うのが一番いい)雹と武はそういう結論に達した。 トリカブトの毒にするか、フグの毒にするか、迷ったが、入手しやすいという事でトリカブトの毒に決めた。 二人は休日に朝早く山へ出かけていった。手のひらサイズの植物図鑑を持って探し出すと、すぐに呆気なく見つかった。 根の部分に大量の毒が含まれている、と書かれている。
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