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「ワンワン、ワンワン」
ポチ太郎が走り出した。
洞窟にいた人間たちは戸惑っていた。
「俺たちは何でこんなところにいるんだ?」
懐中電灯を持った人々の足元を何かが通り過ぎた。
「なんだ?」
「犬だ、犬が走ってるぞ」
ポチ太郎は主人を連れず単独で出口を目指していた。
「あの犬、なんか色おかしくねーか?」
「赤色ぽかった」
出口に現れたポチ太郎は全身真っ赤に染まり、主人の靴下に噛みついている。
「ワンワワンワン(ようやく解放された、あのくそ野郎から。毎日調教と称して殴りやがって。まさか俺の願いごとを魔神が聞くとは思っていなかったようだな)」
靴下を噛み千切る。積もりに積もった積年の恨みを晴らすように。
ワワワンワン「(ルールの④魔神は何語でも理解できる、つまり犬の言葉も分かるということだ)」
解放された喜びから体全体を使って吠える。
ワオーン「(自由だー)」
ポチ太郎は山を元気よく駆け下りていったとさ。
めでたし、めでたし。
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