再会

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あの日、2度と会わないって決めてからたったの2ヶ月半で偶然また会ってしまった。 暑い夏の日の日曜日。 前の週の火曜日から行き付けの居酒屋に夜8時に予約を入れておいたのに 休日出勤にも関わらず遅くなってしまいお店に遅れると電話をした。 すみません、9時前にはいけると思う。 店員さんは快く承知してくれた。 ひと月以上ぶりの癒しの時間が減ったのが悲しい。 最近は仕事漬けの日々を送っている。 前回、一回りも年下の居酒屋の店長に言われた。 何のために頑張ってるの? それをやって良いことがあるの? 転職してからサービス残業ばかりで報われない日々を愚痴った私に店長は言った。 ずっとその言葉が胸に響く。 半年前、年に一度しか会わない友達に言われた。 無駄な事は一つもないんだよ。いつか自分の為になるから。 この言葉がずっと私を支えてる。 急いで階段を上り、 お店の入り口の乗れんを潜ろうとしたら店長が帰るお客さんと話していた。 私に気付いた店長が会釈してくれた。 私もどうもって頷いた。 お客さんの方を見たら ジョウだった。 私は固まった。怖かった。 少ししてジョウがドアを開けて顔を出した。 久しぶり 私から声をかけた。 もう、帰っちゃうの?まだいたらいいのに、久しぶりに一緒に飲んでいかない? と、言ってしまった。 (一緒にいたいけど、何を話したらいいのかわからないし、沈黙が怖いのに…) まだいて欲しいの? にやけた顔でジョウが言った。 (やっぱり誘わなきゃ良かった) またそんなこと言って… ああ、そっちがまだ居たいんじゃないの。 ムッとして言い返すと ジョウは私の言葉なんて聞いていないようにドアを閉めて店長と話していた。 そして出てきた。 帰る。 とジョウは言った。 うん。 (店長に交渉してみたんだろうな。でも予約で席が空いてなかったんだろうな) 久しぶり、元気そうだね。なんか、ご機嫌ね。 うん。そっちは? (私の近況を初めてジョウが聞いてくれた) もう大変だよ。 ジョウはご機嫌でホッとした。 あんな別れ方をしたのにジョウは何事も無かったようにしていられるんだろう。 でも私は再会できて嬉しかった。
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