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彼の右手には白い布が巻かれてあり、足元では絨毯(じゅうたん)についた火が燻(くすぶ)っている。
私の視線に気づいてさっと右手を背後に隠した。少年の瞳は元どおりの黒、燃え広がる炎を映すだけとなっていた。
だが私の背後に何か見つけたのか、緊張した面持ちから一転、口角をつり上げる。
……誰かいる!?
私は振り返り後方の大階段を見た。
「――!」
そこには、彼の片割れであるもう1人の少年が立っていた。
驚いた片割れの少年は、一瞬こちらを見た後で彼に視線を送り、何かの言葉を紡ぐ。
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