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「それにしても毎日毎日、何でこんなに暑いのかなぁ」
優愛は手で顔を仰いだ。
「そりゃあ夏だからね。でもさぁ、すずが死んだなんてまだ信じられないよ」
「のりちは仲良かったもんね。昨日も一日中泣いてたんでしょ?」
「そりゃそうだよ、ユアは泣かなかったの?」
「うん。あたしは佐藤さんってあんまり好きじゃなかったから」
「えっ、何でよ?」
「特に意味はないけど、何となく苦手だったから」
「そんな風に死んだ人のことを悪く言わないほうがいいよ」
「ちょ、言ってないよ。全然悪くなんて言ってないって」
そんな風にとられて、優愛は焦った。
「そう?」
「そうだよ」
「まぁ、今のは悪口じゃないよね。セーフセーフ」
隣に座っている美来が笑う。
今日は一昨日交通事故で亡くなった、クラスメートの葬儀に向かうために、優愛は仲の良い二人のクラスメートと共に、電車に乗って学校に向かっていた。
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