妄執の家

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結局、私達は眠ることが出来ずにリビングに集まると無言で朝までの時間を過ごした。 母が作ってくれたミルクティーの温かさが嬉しかった。 友人は私の隣で真っ青な顔をしてガタガタ震えていた。 ようやく太陽が顔を出し、リビングが明るくなってくると、誰からともなく深いため息をつく。 「今日は学校は休みなさい。お父さんも今日は仕事休むから」 父はそう言って、母と何かを相談するように小声で話し始めた。 「ね、シャワー浴びない?」 今になって気持ちの悪い汗でパジャマが湿っているのに気がついた私は、友人に声をかける。 それに頭から塩をかぶったままなのだ。 「そうね、そうしなさい。軽く食べられるモノを用意しておいてあげるから」 母にもそう言われ、私と友人は恐る恐る部屋へ着替えを取りに行った。 朝日の差し込む部屋はいつもと変わらず、昨夜の出来事はなにかの夢だったのではないかと思ってしまいそうになる。 だが部屋のカーペットやベランダに散った塩の跡を見れば、昨夜の出来事を嫌でも思い出してしまう。なるべくそっちを見ないようにタンスの中から着替えを取り出す。 「お母さん……」 友人がボソリと呟く。 「え?」 「私、お母さんに恨まれてるんだと思ってた……」 そうだ。夢の中におばさんが出てくるって、きっと怒ってるんだって、彼女は悩んでいたんだ。 「違ったんだ。あれ、きっとお母さんが守ってくれてたんだよ。私の事を守ってくれてたんだよ!」 そう言って、彼女はうずくまって泣き出した。 私は何も言えず、ただ泣きじゃくる友人の肩を抱いているだけだった。
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