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「婚約者っていうより、まるで兄妹だな」
「うん。弟がいたらなって思ってたけど、最近は妹もありかなって思うんだ」
エルマは呆れて表現したのに、されたヨシュアは照れながら答えた。
ヨシュアの中では婚約者としての責任感でも、友人としての親しい情でもなく、世話焼きの兄貴分としての気持ちがめきめきと育ち始めていた。
「アベル、どう思う?」
「妹としてでも、存在を認めただけ進歩なんじゃないのか」
「……だな。どんな形であれ、あのヨシュアが身近に女の子を認めただけ大進歩だよな」
こうして、幼馴染みの間では、ティアラは妹分として収まりがついたのだった。
* * *
ヨシュアが試験をなんとかやっつけた夜。
屋敷の主であるレナルトは仕事で夕飯に間に合わず、すっかり暗くなってから帰ってきた。
「完全にロルフ兄さんに振り回されたな。今日くらいは会えるといいが……」
レナルトは疲れたため息と共に玄関の扉をくぐった。
「叔父さん、おかえりなさい!」
勢いのある声に顔を上げれば、待ち焦がれていた甥っ子の姿があった。
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